脳卒中リハビリの職人

接骨院経営の経験から

写真

 もともと接骨院経営を長年続けていた私は、ご高齢にもかかわらず徒歩や自転車で元気に来院する患者様を見続けてきました。
毎日のように顔を見ていた多くの患者様がある日を境に来院されなくなります。理由の多くは年齢に伴う疾患や体力の低下です。
 接骨院で待つだけの私に来院できなくなってしまった患者様に携われる仕事はありませんでした。
デイサービスであれば、もう少し長くこの方たちと関わることができる。
運動障害に強い接骨院の知識を活用すれば、歩けなくなる日を一日でも遅らせることができる。
お世話になった人たちを寝たきりにさせない。
いつまでもかっこ良くいてほしい。

 そんな想いで機能訓練特化型・森の音リハビリデイサービスを始めました。

脳卒中リハビリを始めた理由

写真

リハビリという名前を使っている以上は妥協したくない。本格的に脳卒中のリハビリを勉強しだしたのは開業して半年ほど経ってからでした。
 きっかけは脳卒中の利用者様でした。脳卒中のリハビリに関して当時ほとんど知らず、その利用者様にできることはストレッチや運動ばかりでした。もっと専門的なリハビリがしたい。勉強の為に様々な機関の脳卒中リハビリを見学しました。しかし、同時に疑問も抱くようになりました。リハビリは量や回数、時間やスピードを中心とした評価でよいのだろうか?回数やスピードが上がったから改善したと言えるのだろうか?と。改善どころか回数やスピードを追い求めると麻痺した手足がさらに固くなっているように思いました。
 自分の理想とするのは「麻痺の回復」。利用者様が求めるものもやはり同じでした。
しかし、現代の医学の常識では、脳卒中の発生後半年以上経過している方の機能回復の見込みは小さいとされていることもあり、私や利用者様の求める「失われた機能を取り戻す為のリハビリ」になかなか辿り着けずにいました。


脳卒中リハビリの光

写真 利用者様の機能回復の為のリハビリを探し続ける中で、「脳卒中リハビリ」を専門に行っている河津先生と、認知運動療法の先進国イタリアで脳卒中リハビリをしている松田先生に出会いました。
 今まで見てきたリハビリとは全く違い、「本物」を追い求めた私が行きついた場所でした。
たとえば、麻痺手をテーブルに置くことができるか?脳卒中で片麻痺を持っている方の大半はできると思います。しかし、病気をする前や、健側のようにきれいな動きでテーブルに置くことはできるか?答えはおそらくNOだと思います。テーブルに手を置くという目的は達成できるとは思いますが、その動きはかなり不安定な代償動作が含まれています。
 認知運動療法・思考動作訓練というリハビリ方法は、エラーが出てしまう動き(うまく行かない動き)を徹底的に分析し、正しい動きで動かすことで脳の神経回路を作り直し、拘縮や代償運動を解消させます。ストレッチや筋トレではなく、動きやすい身体に変えていくことができます。
 現在も脳卒中のリハビリを続けていますが、とても奥が深く、数年経った今でも、まだまだ勉強不足だと感じます。研磨を続けた今だからわかることがあります。
「リハビリは熟練した職人技が必要である」
 磨いた職人技を余すことなく発揮し、現状より少しでも良く動くようになりたいという利用者様の諦めない気持ち精一杯応えたいです。